夏。
それは、冬とかけはなれた世界。
そして・・・・・永遠に交わる事ない世界。
そう、私と貴方は・・・・本当は交わってはいけない世界に住む住民だったはずなのに。
初夏の出来事
「あっつーい」
そう言いながら、私の友達のはアイスを食べた。
確かに、暑い。制服も半袖なのに・・・初夏なのになぁ・・・そう思いながら、私もアイスを食べた
「も暑いっしょ!?」
「うん・・・確かに。初夏なのになぁ・・・もしかしたら、今年の夏は夏バテになるかもねぇー」
私とは、笑いながらアイスを食べながら学校から家へ帰宅していた。
夕方なのに、暑い。むしろ、服のまま蒸し風呂に入った気分。
「そういえばさ、跡部君とはどうなったのよ?」
は、ニタニタしながら私を見る。
跡部君とは、確かに数日前から付き合い始めた。私から告白したんだけど。
最初は、「大会があるから・・・」と言われ、断られたんだけど、私も気が気じゃなくて、「大会の邪魔はしないから!!」とか言って無理矢理付き合ってもらう事にした。
かなり、我ながら強引だったけど・・・
「べっつにー・・・跡部君だって、大会あるしさ。迷惑かけちゃいけないって思って・・・あんまり話かけてないかも」
「えぇーなんで!?彼氏なんだよ!?」
「なんでって・・・そりゃぁ彼氏だけど・・・私が強引に付き合ってもらってるだけだし・・・・」
「そういうトコがいけないんだよ!うん!」
「はぁ?」
私は、呆れた感じでに聞くと、はニッコリ笑顔でこう答えた。
「私が、恋のキューピットになっちゃる♪」
「いや・・・結構です」
「どうせ、の事だから電話もメールもしてないんでしょ!?」
「そりゃぁ・・・まぁ・・・・」
「いくら跡部君でも、メールとか電話はしても怒らないと思うけど?」
「そっ・・・そうかなぁ・・・・?」
「大丈夫!今日してみなさい!この様が言ってるんだから大丈夫だって♪」
まぁ・・・そりゃぁ・・・跡部君はそんなに厳しい人じゃないし・・・大丈夫かなぁ・・・
「今日、ぜぇーったい電話するんだよ!?分かった!?」
「うっ・・・うん・・・」
「じゃぁねー」
そう言って、は帰ってしまった。
電話・・・・出来るかなぁ・・・・・・
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「はぁ・・・・・・・」
風呂に入り、ご飯も食べやる事も無くなった・・・のに。
なんだろう。心臓がドキドキする。
ただ、跡部君に電話するだけなのに。
私は、携帯の前に正座で座って携帯と睨めっこをしていた。
あぁー・・・でも、電話しても何話すんだろ?
えっとー・・・・元気ですか?とか?
そんなの毎日学校で会ってるんだから、別に聞く内容じゃないよね・・・
じゃぁ・・・・部活大変?
部活大変なのは、当たり前だよなぁー・・・・
んー・・・・なんだろう・・・
と電話するって約束したけど、いざとなると跡部君と話す内容なんてないよ・・・・・・・
あぁー・・・なんで、私跡部君にあんな強引になっちゃったんだろ・・・
確かに、付き合い始めた数日はすっごく嬉しかったけどさぁー・・・・・なんか、冷めちゃった?
うぅん違う。緊張して何話したら良いのかわかんないし、跡部君から話すなんて滅多にないし、いつも部活で忙しそうだから話かけずらいしー・・・
「あぁー・・・・・・どうしよう」
Pipipipipipipipipipipipipipipipipipipipipipipi。。。。。。
「ぎゃぁっ」
私が、ふと声を出した瞬間、携帯が鳴り出した。しかも、電話。
私は、急いで携帯を開いて、通話ボタンを押した。
跡部君!?
「あ、もしもしー?ー?」
「・・・・・なんだ・・・・」
「何よ!?何がなんだなのよ!?」
「べっ・・・別に・・・・」
「何が別によ!それより、跡部君に電話したの?」
「してない」
「え?」
「話す内容ないし・・・・ねぇ?」
「あぁー・・・・そうか」
「うん」
「まぁ、明日作戦を練ろう?」
「うん」
「今日は寝た方が良いよ。元気ないもん」
元気なくしたのはのせいでしょ・・・・
「分かった。寝る。おやすみ」
「おやすみー」
プツッ・・・・プープープー・・・
「はぁー・・・・なんか、体力使ったなぁー・・・・・」
布団の中に入って、電気を消そうとした時・・・・
〜〜♪〜♪〜
「・・・・え?」
私は、急いで携帯を開いた。
だって、鳴るはずがないはずの着信音だったから。
「はっ・・・・はい」
「よう」
聞こえるのは・・・・
「最近、構ってやれなくて悪かったな」
一番聞きたかったけど、我慢していた声の持ち主。
「?どうした?」
「あっ・・・・・とべ・・・・君・・・・・?」
「どうしたんだよ?泣きそうな声して」
跡部君は、苦笑しながら言っている感じがした。
跡部君の声は、感情が分かる。
「いや・・・だって、部活で忙しそうだったから・・・」
「あぁ・・・それで、お前は電話もメールもすれ違っても話しかけなかったワケか」
「え・・・・?」
「いや・・・最近、構ってやれなかったからな・・・・冷めちまったのかなっと思ってな」
「冷めてなんかないよ」
「そっか・・・良かった」
「え?」
「今度、部活の休みに・・・・出かけようぜ。今まで、に我慢させちまった分・・・少しずつだけど、返していきたい」
「え・・・・・?」
「何だよ、不満か?」
「ちっ・・・違うけど・・・・なんか、あったの?跡部君・・・」
「あー・・・・忍足が、うるさく「ちゃん構ってあげな逃げてしもうでー」とか言いやがってよ。」
「跡部君の関西弁変・・・」
私は、ついおかしくて笑ってしまった。
「アン?笑うなんて言い度胸じゃねぇか」
「だって・・・」
「お前は、笑ってりゃーいいんだよ」
「へ・・・?」
「構ってやれねぇのは本当に悪いと思ってる。けどよ」
「の笑ってる顔が、俺の疲れを癒す唯一の場所だから」
何でだろう・・・・泣きたい。
物凄く。
悲しい泣きじゃなくて。嬉しい泣きなんだよ。
「ひっく・・・・・・」
「おい、どうした?」
「うれしっ・・・・くて・・・・」
「泣くんじゃねぇよ」
「だって・・・・・」
「今、のそばにいられたら、抱きしめて頭撫でられるのにな」
「・・・っく」
「こんな俺が憎い」
「ひっ・・・・・」
「なぁ・・・・・大会が終わったら・・・・を抱きしめていいか?」
「っん・・・・・」
「だから、泣くな」
「ぅん・・・・・」
「これからも、ずっとずっと好きだから」
「うん・・・」
「愛してやるよ」
「うん」
「なんだかんだ話してたら、時間たっちまったな」
「あ・・・ほんとだ」
「さっさと、その泣きっつら直して、明日学校来いよ。目腫れてるお前なんか見たくねぇからな」
「分かってるって・・・・」
「それと・・・・」
「・・・・・?」
「跡部君じゃなくて、景吾って呼べよ」
「けっ・・・・景吾?」
「バーカ。疑問系にしてどうすんだよ」
「景吾・・・・」
「それでヨシ。」
「景吾・・・・」
「アン?何だよ」
「好きだよ・・・・大会、頑張ってね」
「あっ・・・あぁ・・・・・」
「今、照れたデショ」
「照れてねぇーよ。バーカ。切るぞ」
「図星だったんだ」
「アン?」
「べっつにー・・・」
「愛してる」
「なっ・・・///!?」
「ハッ・・・さっきのお返し。じゃぁな。また・・・明日学校でな」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
プツッ・・・・プープー・・・
蒸し暑い初夏の時期、
目標に向けて歩き出す君は
かっこよすぎて近づけないって思ってた。
だけど、もう大丈夫だよね。
少しずつ少しずつ、今までの溝を埋めて
少しずつ少しずつ貴方に甘えていけたなら
私も幸せなのです。
それは、それは初夏の出来事。
Fin.........
え?意味が分からないって?すっ・・・すみません(爆)
ただ、大会に向けて頑張る跡部は、きっと一筋で部活に集中するんじゃないかなぁーっと思ってあえて、季節はずれに書いてみました。
そして珍しく?チューも無しです。
そうさ、跡部はきっと純情ボーイだったのさ(は)
まぁ・・・今回の跡部は、偽跡部って事で(笑)