体が・・・熱い。
こんな事になるんだったら、学校を休めばよかったと俺は学校に来て後悔した。
完璧なんて。
今日の景吾の様子はおかしい。
なんか、ダルそうって言うか・・・ボー・・・っとしてて、頬が少し赤い。
熱でもあるのかなぁー?っと思って近づこうとすると、「近寄るな!!」とか大声をあげて、私を避ける。
「けっ・・・・景吾?」
景吾と私の距離は2mくらい。
なんでこんな離れてるのか、理由は教えてくれないし、近づかせてもくれない。
忍足に相談すると、「浮気して罪悪感を感じてるんとちゃう?」とか言ってたし。
景吾は、浮気する人間じゃないって知ってるから、そんなことはない。
ただ、岳人に話したら、「あー・・・アイツ、今日はダルいから近寄るなって言ってたぜ!」って言うから、多分熱なんだと思う。
「アーン?」
景吾は、相変わらず不機嫌なのかダルいのか分かんないけど、眉間にシワを寄せて私を見る。
「近づいても・・・良い?」
「ダメだ」
きっぱりと断られて、景吾は私から離れる。
なんで?
「私の事嫌いになったとか?」
「ちげーよ」
「じゃぁ、なんで?」
「何でもだ」
景吾は、ダルそうに教室から出て行ってしまった。
あーぁ。完全に風邪引いてるよ。
どうして、景吾はいつも無理するかなぁー・・・
「・・・ホンマ、跡部ダルそうやな」
「あっ・・・忍足・・・やっぱり、景吾帰らせた方が良いよね?」
「やっぱ、跡部風邪かよ!今日は近づくのやめよーっと」
「岳人・・・近づかなくても、風邪は移るもんだよ?」
岳人はビックリした顔で、慌てて自分の教室に戻って行った。
そんなに風邪引きたくないんだね・・・
「多分、跡部の事やから、素直に保健室行かないと思うけどなぁ」
「だよねぇ・・・」
私と忍足は、近所のおばさんの様に跡部の体調を気にしていた。
* * * * * * * * * * * * *
「ダルい・・・・・・」
朝から、微妙に体が熱くて・・・頭が痛かった。
もしかして・・・と思いつつ俺は、執事に風邪っぽいのをバレないように、普通に飯を食って・・・普通に来たつもりだった。
車の中でも咳が出そうで、必死で抑えていたのが致命傷になったのか、授業を聞いても何も頭に入らない。
このままではマズイと思いつつも、今日は部長会議もある・・・
「はぁ・・・・」
少しでも熱い身体を冷まそうと、屋上に来て風に当たる。
冷たい風が心地よくて、グッタリと体をフェンスに預けていると、女子生徒がやってきた。
「クソッ・・・」
俺は、死角になるような場所に寄りかかって体を休めると、女子生徒の話し声が聞こえた。
「そういえばさぁー・・・跡部様の彼女ってどうよ?」
「あぁー?アイツ最近調子乗ってるって言うかぁー・・・なんか、気に食わないよねぇ」
なんなんだ。ダルい時に彼女の悪口を聞かなきゃいけないなんて。
怒りが込み上げてくるが、体がダルくて・・・動かない。
「チッ・・・」
俺は黙って聞いてるしかないのか・・・
そう思っていると、一番聞いちゃいけない事を聞いた気がした。
「じゃぁさ、今度呼び出してボコっちゃう?」
笑いを含まれた声で、確かに女子生徒はそう言った。
俺の怒りボルテージはマックスになり、ダルい体を持ち上げて・・・女子生徒の前に立った。
体が重い。
「おい、」
「あっ・・・・跡部様!?」
女共がビクッとして俺の顔を見る。
「が・・なんだって?」
「いやっ・・・そのっ・・・」
「俺様の彼女に手ぇ出すとは良い度胸だなぁ?アン?」
「でもっ・・・」
「あんだよ?人のこと殴るくらい偉い立場じゃねぇのに、良い身分なこったな」
体が・・・・・動かない。
マズイ。このままだと・・・
「でもっ・・・!跡部様!は・・・!」
「そうよ!あの人っ・・・忍足さんとも付き合ってるって噂が・・・!」
「あぁん?」
「跡部様の彼女が、二股なんてっ・・・」
が・・・・忍足と?
俺の頭は、思考回路が停止してしまい、俺は何も考えられなくなった。
どうして、嫌なことがこんなに続くのか。
体がダルいと思ったら、今度は彼女の二股疑惑かよ・・・
俺は、声を上げて女子生徒に言った。
「帰れ!」
「えっ・・・」
「いいから・・・帰れ・・・」
女子生徒は、素直に屋上から立ち去り、俺は一人・・・フェンスに寄りかかり、携帯を取り出し・・・に電話をかけた。
「・・・・俺分かんねぇよ・・・」
「もし・・・・もし?」
「・・・」
「どうしたの?ってゆーか・・・今ドコ!?」
の声は、心配してくれているのか、声が焦っていた。
「なぁ・・・忍足と・・・付き合ってるのか?」
ふいに漏れた、俺の心の中の声。
普段は、こんな事すらすら言えるワケないのに。
「今・・・・ドコ」
「良いから答えろよ」
俺は、イライラしているせいか、を怒鳴ってしまった。
こんな、どうでもいい理由で怒鳴ってしまう俺は、本当にどうかしてる。
「付き合ってなんか・・・いるわけないじゃん」
は、俺の怒鳴り声にビックリしたのか、泣いている声だった。
「おっ・・・おいっ・・・・・・?」
「景吾がっ・・・そんな変な事気にするなんてっ・・・」
「・・・悪い。そうだよな・・・俺らしく・・・ないよな・・・」
俺は、携帯を持つ手が震えているのに気がついた。
このままだと・・・倒れて死んじまうかもな。
「景吾ッ」
グッタリした体を起き上がらせて、声のする方を見る。
見れば、今にも泣きそうな顔で、俺のほうへ近づく。
「・・・・」
「バカ景吾っ!何でこんな体っ・・・すっごい熱いじゃん!!」
「ダルい・・・」
「ちょっ・・・景吾歩ける?」
は、俺の髪を撫でてくる。その手が心地良い。
「んっ・・・」
俺はに寄りかかるように立ち上がると、フラッと目眩がした。
「景吾重いっ・・・」
「なぁ・・・」
「え?」
「俺様は人間だからな・・・・弱ぇんだよ・・・」
「そんなの知ってる」
「こんな俺でも・・・」
は、ニッコリと笑ってこう言った。
「好きだよ。完璧じゃない景吾が・・・一番好き」
そうだ、俺は完璧じゃない。
足りない所は、に補ってもらえればいいんだ。
「完璧な人間なんていないから・・・」
だから、
「に足りない所は・・・俺が支えてやるよ」
その後、に看病された俺は・・・翌日には体力を回復していた。
Fin
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はい。渋澤が風邪っぽかったので、書いてみました(笑)
跡部が風邪引いたら、看病したいですよn(ry
はい(笑)
2006.04.06