「景吾、私が暇になったら構ってよ?構ってくれなきゃワガママになるからね?」

「あぁ。分かった」


そう言って景吾と、私の小指を結んで、指きりをした。











本当は、約束してたはずなのに。














ワガママ










「ねー・・・景吾。今度一緒に映画観に行こう。」

私がそう言うと景吾は本から視線をはずして私を見る。
窓から夕日の光が入って眩しいのか知らないけど、レンズ越しに私を見る目は目を細めている。

「・・・暇な時にな」

景吾はそう言うと自分の前髪をかき上げてまた本に視線を戻す。
最近景吾は部活も、私生活も色々と忙しく、私が遊びに行ってるのに景吾は本を読んだままで私に構ってくれない。

「今暇じゃん」

私がそう言うと景吾は眉間にシワを寄せて私を見る。

「・・・今度ってが言っただろう?それに今はイヤだ。は本当にワガママだな」

景吾はそう言うとまた本を見る。
本当に暇。家に帰りたいくらいだけど、でも、本を読んでる姿もかっこいい。
確かに私はワガママなのかもしれない。
景吾はいつも忙しいんだから、好きな読書だってしたいと思うかもしれない。
ケド、私にも構って欲しい。
たまにしかない休日。私だって普段何も言わずにデートのドタキャンとかされても、黙ってた。

「・・・・・・・つまんない」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・ねぇ」

「・・・・・・・・・」

私が話しかけても無視。
私って本当に彼女?って景吾に聞くと「当たり前だろ」って答えが出る。
それはそれで嬉しいんだけど、やっぱり構ってくれないのはちょっとムカツク。

本当に本に夢中になっているらしく、私は景吾に入れてもらった紅茶を飲む。
沈黙が走る中、私の紅茶の飲む音と、景吾が時々本のページをめくる音しか聞こえない。
景吾の家に来てから時間が経っているので、紅茶が冷たい。
景吾に入れ替えてと言ったら景吾は入れてくれるだろうか?
そんな事を思いながら、私は冷めた紅茶を飲み干した。
景吾のカップの中にはまだ紅茶が入っている。

「・・・・・・・・・・・暇ぁ」

「うるせぇなぁ・・・・」

私は甘えた声で景吾に抱きつく。
景吾は私がうざったいらしく、ぺいっと剥がされてしまった。

「・・・別れるぞ!!」

私はちょっと怒った声を出して景吾にはむかってみる。
でも景吾は自信満々で私に言った。

「別れられねぇくせに」

確かにそうなんだけど。
でも、構って欲しい。でも構ってくれない。
私は背中に夕日の光を浴びながら機嫌斜めでソファに寝転がった。

フワフワしていて、背中にあたる太陽の光のせいで、ポカポカしてきた。
あー・・・何か目がとろんとしてきた。

思考回路が回らない頭が重く感じられて、一人私は景吾から離れたソファで寝てしまった。








































*     *     *     *     *     *


































「ん・・・・」



気が付くともう部屋の中が真っ暗だった。
窓を見ると真っ暗で、何も見えない。

私は一人景吾に置いていかれたのかと思ってちょっと寂しくなった。
部屋出るんだったら起こしてくれてもいいのに。

もう夜なので、私は帰る支度をする為に自分のバックを持つ。
別に家には今誰もいないから、帰りが遅くても誰も怒らないから、別にいいんだけど。
でも、何か景吾の家にいると、ワガママになっちゃうし、甘えたくなる。
だからもう帰ろう。そう自分に言い聞かせて部屋を出ようとした。

ドアノブに手をかけた瞬間、ガチャット音が鳴ってドアが開いた。
私はビックリして上を見上げた。

「何だ・・・起きたのか」

景吾は少しビックリして私を見た。

「目ェ腫れてるぜ」

そう言って私の瞼に触れる景吾の手。
優しく、傷つけないように触る景吾の手は、少し暖かかった。

「・・・帰る」

私は景吾に置かれたので、ちょっと不機嫌だった。
家に帰ってご飯食べて風呂入って寝たかった。

「んだよ・・・・・・今日誰もいないから朝帰りOKだって言ったじゃねぇか」

景吾は少し不満そうに言うと私を目線を合わせられるようにしゃがむ。
景吾はまだ眼鏡をかけていた。
レンズ越しで見られると何もかも見られている感じがする。

「・・・だって景吾本ばっかり読んでてつまんないんだもん」

「・・・悪かったよ」

景吾は、申し訳なさそうに私の顔を見ながら、謝った。

「本当にそう思ってる?」

「あぁ。思ってる」

「じゃぁ何で構ってくれないの」

「・・・・・・・・・」

「黙んないでよ」

景吾は沈黙を続けて、罰が悪そうに私の顔を見る。

「景吾言ったじゃん。私が暇になったら構うって」

「構ってやるから」

景吾はそう言うと私を抱きしめる。
私の首筋には眼鏡のフレームがあたって冷たい。
そして何よりも景吾のつけてる香水の匂いが心地よくて、何もかも許せるような雰囲気になってしまう。
それを知って知らずか、私が泣きそうになったり、ワガママを言うと抱き締めてくる。

「・・・・じゃぁ、証拠。」

「・・・ん」

景吾の顔が近付いて、眼鏡のレンズ越しの目で私の視線を捉えて、口付ける。
何度も何度も繰り替えされるキスをされた。

「景吾」

「何だよ。これじゃ不満か?」

「そうじゃなくて・・・眼鏡邪魔。キスする時鼻に当たる」

景吾は眼鏡を取り、眼鏡を胸ポケットにしまいこんで、また私に口付けを繰り返した。
何度も何度も。
この時がずっと続けばいいのに。
そう思った。
ケド、景吾は額に口付けて、私の手を握った。

「冷てぇ・・・」

「だって寒いもん」

この部屋は冷暖房もついてない部屋で、真っ暗な状態で寝ていたので、私の体温も下がったのだろう。

「リビングに熱い紅茶入れてやる」

「・・・紅茶じゃなくて、スープがいい」

「あぁ。分かった。作ってやるよ」

「景吾が?」

「イヤなのか?」

「うぅん。景吾がキッチン入ったら私がまた暇になる。」

「・・・?」

「離れたくない」

「・・・じゃぁ・・・作らせる。その間何かしていようぜ」

「うん」

そう言って強く握り締められた手を繋いで歩きながら、リビングに向かった。

















fin..............................





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跡部夢です・・・。はい。
何だか甘いのか甘くないのが微妙と言われそうです。(泣)
寝ようと思って、ベットに入ろうとした瞬間ネタが思いついたので、すぐさまパソコンを立ち上げて、書きました(何)
なんだか忘れてしまいそうだったので(汗)
基本的にこういう話は好きです。
ほのぼの〜としてて(笑)
さ〜・・・今から寝ます。眠いです。