突然、が「海に行きたい」と言い出した。

「今の時期って寒いと思うんやけど。」

そう言ったら「海の違う場面も見たい」と言い出した。













冷たい海










「ねぇ〜侑士〜やっぱさ・・・海は夏に行っちゃダメだよ」


は電車の中でポツリと、そう言った。


「いきなり、どないしたん?」

「今日さ、学校サボって海行こうよ」




「・・・は?」




いきなり、はそんな事を言い出した。
こんな寒い時期に海?
何言うてんねん・・・・


「だからさ〜海!!海行こう!」

「ちょ・・・!待ってや!なんで、こんな時期に海なんか行かなアカンねん!」

「・・・海行きたくなったから」


そう言って、は俺の制服の袖を掴んだ。
アカン。こんな感じになったら、は何も聞こうとしない。


「・・・親に怒られても知らんで」

「ヘヘッ・・・ありがと。侑士」


そう言って、はニッコリ、微笑した。
そん時の顔が、めっちゃ可愛かった。

氷帝に向かうはずだった、俺たちは、海に行くことになり、氷帝とは逆方向なので、途中で下車した。
は相変わらず、俺の制服の袖を、掴んだままだった。

今日も、普段通り、冬なので寒い。
は、マフラーをしてる。
俺だって、コートを着てる。

なのに、はいきなり、海に行きたいと言い出した。

寒いに決まってるやん・・・
と思いつつ、の思い通りに動いている自分がなんか、情けなかった。


「ねー・・・侑士」


途中下車した駅から、海に近い最寄の駅はかなりの時間がかかる距離だった。
なので、俺は読みかけの小説を読んでいたら、暇になってきたのか、は俺に話かけてきた。


「何や?」

「私が、いきなり海に行きたいって言った理由・・・知りたい?」

「せやな・・・・そら、気になるけど・・・」

「ヘヘッ・・・やっぱ?」

「理由あるんか?」

「そりゃ、あるよ!」


は、ニコニコしながら、カバンの中から出したのは、一枚の写真だった。


「何や。コレ」

「あんね〜これ!この海綺麗だと思わない?」


そう言って見せてきたのは、ただ、膨大と写る、綺麗な海だった


「この海、綺麗でしょ?結構、知られてない写真家の人が撮った写真らしんだけど、この海、冬に撮影したらしんだ」

「へぇー・・・・綺麗やなぁ・・・」


とても、冬とは思えないほど綺麗な空に、綺麗な海の色をしていた。
確かに、が綺麗と言うのは分かる。


「せやけど、何で、海行きたいなんて、言い出したん?」

「そんなの決まってんじゃん!この写真見たらさ〜・・・海行きたくなっちゃって」


そう言って、は写真をカバンの中にしまい、また、俺の方を見た。


「それにさー・・・・私ひとりで、海を見に行くのって切ないしー・・・」

「あんなぁ・・・・」


俺は、少し、戸惑いつつも苦笑いをしていた。


「それにね!侑士と、一緒にデートしてみたかったの!」


は照れくさそうに、俺の肩に寄りかかってきた。
アカン。反則や。
こないな事言われて落ちない男なんておるわけないやん

そう思いながら、俺はの髪をそっと撫でた。


「そうやな・・・」


二人、電車に揺られながら、俺らは、海に向かった。

































*     *     *     *     *     *
































「ん・・・・?」


ふと、目を開けると、あと1駅で、終点だった。
ぱっと気づいて、外を見ると、そこには、オレンジになりかけた、海が見えた。


俺は、急いでを起こした。


・・・もうすぐ、着くで」

「んぅ・・・・・」


は眠そうな顔をしながら外を見た。

「わぁ・・・・・・・海だぁ!!」

「せゃ〜やっと着くで〜」

「んぅ・・・眠い・・・」

「・・・


俺は、にそっと口付けた。
ただ、なんとなく。
どうしても、愛しく思えて。


「・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・」


は、ビックリして、口が、半開きだった。
・・・そないな反応されてもなぁ・・・

「侑士とキスしちゃった・・・・!!」

「何やねん・・・嫌やったんか?」


は、首をブンブン振って、笑顔で答えた。


「嬉しい」


ホンマに愛しく思えた。


電車は、終点に到着して、俺たちは、降りた。


「あぁ〜長かった!!」


は、大きく伸びをして、トテトテと走り出した


「侑士〜コッチコッチ!超、綺麗に見れるよ!!」

「ホンマやなぁ・・・」


オレンジに染められた海は、物凄く、綺麗に写った。

















*     *     *     *     *     *

















「超寒ッ!!!」


俺たちは、砂浜で、座っていた。


「侑士〜超寒いねぇ!!」

「ホンマや・・・海風で、髪ベトベトやし・・・」


俺は、コートのポケットに左手を入れながら、右手での手を握っていた。


「侑士〜ちょっとだけ、海に入ってみよ」

「はぁ!?何言ってんねん!!」


は、俺の袖をクイクイ引っ張りながら、海に近づこうとする。
冬に海に来るバカは、俺らだけで、2人だけの貸切海。


「だってさぁ〜折角海来たんだし!ね!」

「嫌に決まってんやん!!」

「だーいじょーぶー!風邪引いたら、私が、看病してあげるからぁぁぁぁ」


そう言って、俺の袖を引っ張る
看病してくれるのは嬉しいんやけど、風邪引いたら、アカン時期やろ。
俺ら受験生やで!?


「じゃぁ、足だけ!ね!足!」


そう言って、俺の袖を、もっと引っ張る
ホンマに堪忍してくれ・・・・


「足・・・だけやで・・・」


そう言って、俺とは靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ、海に近づいた。
絶対冷たいで・・・

俺は、覚悟して海に近づいた。


「きゃぁぁぁぁ!!冷たい!超冷たい!!」


は、子供の様に海でパシャパシャ遊んでいた。
ホンマにあの子は・・・


「侑士〜超冷たいねー」

「アカン・・・凍え死にそうや。。。」


そう言って、俺は部活用に持ってきていた、タオルで足を拭いて、靴下を履き、靴を履いた。

も、しばらくして気が済んだのか、海から出てきた。


「侑士〜タオル貸して〜」

「はいはい。ほれ」


俺は、にタオルを渡して、暖かい缶コーヒーを飲みたくなったので、を置いて、自動販売機で缶コーヒーを買った。
そういえば、も寒いとか言うてたな。
そう思って、コーンポタージュを買って、戻った。





?」


そっと触れると、は震えていた。
アカン。コイツ風邪引いたで。


「侑士・・・ぁんがと」

「ん・・・あぁ。」

「・・・鼻水止まんない」


そう言って、は俺に抱きついてきた。
・・・だから、言うたやん・・・

そう思いながら、俺はに、俺と、自分のカバンを持たせて、を抱き上げた。
ホンマに・・・世話の焼ける子やなぁ・・・


そう思いながら、帰った。
もちろん、家に着いたのは、夜だった。

は、次の日、高熱を出して、学校を休んでいた。
言わんこっちゃない。
は、ホンマに世話の焼ける子やな・・・





















終われ


あぁ・・・本当。侑士って動かしづらいキャラだよね・・・
一番の苦手キャラであります(泣)
しかも、何か今回微妙に長いよ!!
頑張ったァタシ!

窓を、閉じておくんなさいまし。