付き合ってもいないのに、下の名前で呼ばれるってどうよ。
しかも、それがテニス部の部長であって、しかも同じクラスメイト。


「ねぇ、幸村」


「ん?どうしたの?


「どうして、幸村は私の下の名前で呼ぶんですか」


「それはぁー・・・やっぱり親しい関係になる為・・・かな」


そう言いながら、彼はニコッと笑う。
この笑顔は、花の様だーとか思う人もいるけど、やっぱり私は慣れない。























名前




















「お!じゃん!」


そう言って話しかけてくるのは、丸井君。
立海大のテニス部で、自称天才らしい。実際、私は丸井君のテニス姿よりも、お菓子をバクバク食べてる姿しか見た事がない。


「何・・・・ってゆーか、下の名前で呼ばないでよねぇー勘違いされるじゃん。」

「え?別にいいだろぃ?幸村だって下の名前で呼んでるんだし」

「あのね!!私と幸村はただのクラスメイト!!ただでさえ勘違いされてるのに、丸井君まで下の名前で呼ばないでよ!!」


私が、キッと睨むと丸井君は何かを思い出した様に、ニヤっとした。


「ハハーン・・・さては、・・・お前まさか幸村の事―――」

「言っておきますけど、ただのクラスメイトです」

「ちぇっ」


丸井君は、ちょっと悔しそうにガムを膨らませる。
そもそも、クラスでの席替えが問題だった。

病気で、退院した幸村が戻ってきた為、いままでならべく控えていた席替えが幸村復活の最初の日に実行された。
私と幸村のクラスはいつもくじ引きで決める為、運によって席が決まる。

私は、運が良かったのか、窓際の一番後ろの席になった。
が、しかし。

幸村がくじ引きを引いた所、私の隣にやってきたのだ。
そう、あの営業スマイルなのか良く分からない、あの幸村が。



「よろしくね」

「よろしくお願いします・・・・」



そう、ちょっと女の子っぽい声で、しかもあの幸村が私の隣に。
幸村は結構人気があるが、まさかこの人の隣になるとは思いもよらなかった。



「授業、全然出てなかったから色々教えて欲しいんだ。」



席替えも終わり、突如幸村君から話しかけられたと思ったら、勉強を教えて欲しいとの事だった。
幸い、私が得意とする所を聞いてきた為、教える事になった。



「えっと・・・・名前は、さんでいいのかな?」

「あっ・・・・うん。って言います」

「へぇ・・・・可愛い名前だね」



そう、笑顔で私の名前を褒めてくれた。



「あっ・・・ありがとう」

「じゃぁ、今度からって呼ぶね」






「Σは!?」

「ほら、席も隣同士だし」

そう言いながら、机をくっつけてくる幸村君。


「ちょっ・・・・下の名前はちょっと・・・」

「え?別にいいじゃない。あ、多分僕がって呼ぶと、きっとブン太や仁王とかがの事、呼び捨てになるかもね」



そんな恐ろしい事、言わないで下さい。幸村さん。



「それは困ります!ってゆーか、苗字で呼んで下さい!!!」


「いいじゃない、親しみを込めて・・・・ね?」




「ぜーったい、だめー!!!」




「いいじゃない、ね。はい、それじゃぁここ教えて欲しいんだけど・・・」



そう言って、幸村君は教科書を指でなぞる。
とってもとっても綺麗な手。



「それでね・・・」


「おーい!!!!!ー!!!」





今度は何!?とか思ったら、丸井君でした。
しかも、料理本を持ってきて。






「ブン太・・・料理本なんか持ってきてどうしたの?」



幸村は、丸井君に不思議そうに料理本を見る。
丸井君は、幸村君に笑顔でこう答えた。


「おう!幸村!あのな、家庭科の調理実習すっげー上手なんだってさ!だから、俺、これに作ってもらおうと思った!」

に?」

?」

「そう、さんの事」

「あ、下の名前って言うのか!?知らなかったぜぃ!んじゃー、シクヨロ☆」



「・・・・は?」


私は、何がなんだか分からずボーっとしていたら、丸井君にドサッと料理本を机の上に広げられた。
正直言って狭い。



「これ、マジ美味そうだろぃ!?だから、!作ってくれぃ!」


「んー・・・たしかに、これは美味しそうだね。」


そう言いながら会話に参加する幸村君。


「え!?ちょっ!!なんで私!?ってゆーか初対面でいきなり下の名前で呼ぶな!!」


私がそう言うと、幸村君が


「いいじゃない、って可愛い名前だし」


そんなの理由になってません。幸村さん。





「んじゃーシクヨロー俺、真田に用あっから!んじゃ!」



そう言って、丸井君は嵐のごとく、教室を出て行った。
なんか、幸村君に関わってろくな事がない。




「フフッ・・・・、これ作るの?」

「作りません




見知らぬ男に、いきなり作れって言われても困るし。」



「そう・・・・じゃぁ、俺が作って欲しいって言ったら・・・・作ってくれるよね?」



「なっ・・・」



「クラスメイトのお願い、聞いてくれるよね?。」


「なっ・・・・」





「よろしくお願いするよ。あ、俺は甘いのは控えめでよろしくね。は作ってきてくれるって信じてるよ」







「だーかーらー!!名前で呼ぶなぁ!!」













まだまだ、幸村君にからかわれるみたいです。
でも、確実に幸村君が隣の席になってから、楽しい学校生活が送れてるのは・・・・幸村君のおかげかな?














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初、幸村夢。ってゆーか、一歩間違えれば不二に見えるのは私だけ。
そして、リクエストして下さったのは、紅葉様でした。
クラスメイトで、ほのぼの系との事でしたが・・・・・
ぶっちゃけ、クラスメイト設定しかクリアしてない気が(爆)ほのぼのしてませんね。
なんか、毎日が戦争!みたいな(は
渋澤は、あんまりクラスメイト設定とか書かないので、しっくはっくしながら書かせてもらいました(笑)
だって、クラスメイト設定って、キスができない!甘い言葉が出せない!(笑)
友達感覚ってこんなもんかなってな感じで書かせてもらいました。
いかがでしょう。返品可です。(あはは)
苦情バッチコーイ!!!(叫)
ってか、友情出演させたブン太がやけにでしゃばってますね(殴)
また、よろしければリク等どうぞ。

2006.02.10